創世紀―牛角と祝祭・その民族系譜―
著述者:歴史学講座「創世」 小嶋 秋彦
執筆時期:1999~2000年
牛角と祝祭・その民族系譜:168頁
第三章 「創世記」カインの本実(6)
マルタ語においての「記号、しるし」を表す用語
singal について先に触れたが、
この語から派生した用語 sengha は「商業、技術」を意味する。
また同じく「記号、しるし」を意味する用語として tebgha があり、
同根語 thigh ha は「売る」で商人と関係していることを示す。
tbahar は「航海する、出帆する」意味となる。
この tebgha は、シュメル語ではないが
シュメルの楔形文字に表記された thveli と対応する用語であろう。
thveli は金属工と理解されているが、
『創世期』第四章に「青銅や鉄の全ての刃物を鍛える者」の名として
挙がるトバルカイン Tubelcain の構成語で、
この名は「金属工匠」と理解できる。
旧約聖書におけるヘブライ語の「しるし」は TSYVN(tsion) であるが、
商品と解釈できる「供給品、必需品、設備」を表す用語が TSYVN(tsiod) で、
TSYVN の語尾NがOに代わっただけである。
そのd(ד) r(ך) に極似しており、
旧約聖書のシオン TSYVN(しるし) にする挿話は
スバル人の商業活動の盛大さから創造されたものと考えて
差し支えないと思う。
スバル人とは北メソポタミアのカルト人のうち、
金・銀・銅・錫・鉛を取り扱うことを中心に
織物・木材・貴石をも交易する商人たちであったのであり、
青銅器時代を迎え、
その需要が増大した紀元前三千五百年頃から
彼等の活動が活発化したものと推察できる。
ARPACHIYAH 1976
『参考』
Tell Arpachiyah (Iraq).
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シュメル絵文字
シュメル語・日本語
《Key Word》
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