2013年7月22日月曜日

淀姫と矢保佐神社(6)


 創世紀―牛角と祝祭・その民族系譜―

 著述者:歴史学講座「創世」 小嶋 秋彦

 執筆時期:1999~2000年

 牛角と祝祭・その民族系譜:58頁

 第一章 淀姫と矢保佐神社 (6)

  最後に、淀姫神について肥前国風土記に載る

 景行天皇の妹君の名が淀姫(豊姫・世田姫)で、

 その姫を祭るとの由来伝承をどう評価するかであるが、

 『角川地名大辞典』がいう通り真偽の程は疑わしい。

  京都府伏見区淀本町に「與杼(よど)神社」がある。

 同社はまた佐賀県大和町の与止日女神社から

 平安時代の応和年間に招請されたので、淀姫神社とも呼ばれる。

 延喜式乙訓郡に記載された古社である。

 延喜式山城国に葛野郡に坐す

 「大酒神社元名大群神」があり、

 大群神はまたデーヴィー神を表す。

 「大酒」とされるのはドゥルガー神の別称

 麻多羅 madira を祭神としているからで、

 「酔わせるもの、酒精飲料」を意味している。

 兵庫県赤穂市坂越(さこし)に大避神社がある。

 祭神は大避大神で大酒大明神ともいう。

 同社の所在地坂越は古史料に

 尺師と記されているようにシャクシで、

 延喜式山城国乙訓郡に載る

 「白玉手祭耒酒解(さかとげ)神社名神大元山埼社」

 の社名と同様

 サンスクリット語 šakti の転訛であり、

 シヴァ神の神妃としてのデーヴィー神を象徴する。

 「白玉手祭耒」は

 現在の京都市右京区梅津フケノ川町の

 梅宮大社の地をかっては玉手といったためで

 「延喜式」葛野郡に「梅宮坐神田社並名神大」

 と記載されている同社より酒解神を招請し奉祭したという

 説明書きをつけているのである。

 梅宮のウメはウマー Umā で、

 これもデーヴィー女神の別称である

 酒解神がデーヴィー女神であることがこれでも解かる。

 社伝によると

 同社もまた現在の綴喜郡井手町付近の山城国相楽郡井手庄から

 平安初期に鎮座替えされたという。

 井手には現在玉川が流れ、玉水あるいは玉津の地名がある。

 ところで「井」はセキ、シャウと訓ずるので

 「井手」の音読はシャクティであり、

 デーヴィー女神を表している。

 京都から流れて大阪湾に入る淀川は

 この淀姫の名に依る物である。

 ただし、応和年代(九六一~九六四)は

 神名帳の編まれた延喜(九〇一~九二三)より後なので、

 神名帳に記す同社の祭神については

 別の解釈をしなければならない。

 『参考』

 まんどぅーかネット

 《Key Word》

 肥前国風土記

 角川地名大辞典

 與杼(よど)神社

 与止日女神社

 延喜式

 大酒神社元名大群神

 大避神社

 大酒大明神

 白玉手祭耒

 梅宮大社

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