2013年7月26日金曜日

バビロニアの新年祭(4)


 創世紀―牛角と祝祭・その民族系譜―

 著述者:歴史学講座「創世」 小嶋 秋彦

 執筆時期:1999~2000年

 牛角と祝祭・その民族系譜:78頁

 第二章 バビロニアの新年祭 (4)

  ティアマトとは塩水の海の意であると紹介したが、

 シュメルの諸都市にとっては

 原初的な神々の母神フブルの別称でもあった。

 アッカドの人々の神であるマルドウク神が湿地

 つまりシュメル原初的母神を圧倒したというのは、

 シュメルの諸都市を

 治下に敷いたという事跡の象徴であったのだろうか。

 マルドウクの

 マル maru は息子の意、

 ドゥク dug は壺の意味である。

 メソポタミアでは壺を持った神像が多く造られた。

 神の壺から流れ出る水は塩からい潮水ではなく、

 淡水で甘い水である。

 人々に豊饒と安らぎをもたらす神の恵みである。

 マルドウク神はそのため

 アッカド語で エア Eá 、

 シュメル語のエンキ Enki 神の息子とされる。

 エンキ神は「地の神」の意であるが水神である。

 地を掘ると淡水が湧き出てくる

 井戸ないし泉の神というのが専門家の見解である。

 シュメルの万神殿には三大神がおり、

 「天空の神」アン An 、

 「大気の神」エンリル Enlil 、そして

 「水の神」であるエンキ神である。

 少々混沌とするが、シュメルの人々にとって

 原初的母神と述べたフブルは

 アン神の父祖神といわれるアンシャル神とともに

 もう一つ古い世代の神であったと考えられる。

 シュメル人がこの地にやって来て活躍したのは

 紀元前三千紀である。

 それ以前紀元前五千年紀に

 第一の先住民が移住してきてから二千年が経過した頃である。

 第一の先住民が集落を作り、

 神殿を建てた都市エリドゥの名称もシュメル語ではない。

 第一先住民の移動し定住した時期を

 専門家は一般にウバイド期と呼んでいる。

 『参考』

 まんどぅーかネット

 《Key Word》

 フブル

 アン神

 エンリル神

 エンキ神

 アンシャル神

 エリドゥ

 シュメル人

 シュメル語

 ウバイド期

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