2011年12月11日日曜日

歴史は定義できるだろうか?



 『出典』言語復原史学会加治木義博大学院講義録23:13頁

 《歴史は定義できるだろうか?

 本大学院講座は、

 論文や著書を書いて戴くのが目標だが、

 それには本学独特の、

 しっかりした基礎常識が必要なことはいうまでもない。

 ことに本学は史学の高度化が目的だからこの『定義』の問題までは、

 必須の科目に入れたかったが、それが遂に実現した。

 会員諸賢もそのおつもりで熟読して戴いて、

 決して読み流しにして戴かぬように、心からお願い申しあげます。

 歴史も『定義』が完成していなければ、

 たとえば『魏書倭人章』を『記・紀』と比べて、

 「一致している」「いや違っている」と、

 いくら論争してみても、何の役にも立たない。

 歴史は人間の行為と行動の記録だから、人はどんな行動でもとる。

 一定の法則だけに従うものではない。

 それを不合理だといってみても始まらない。

 不動の法則による制約がないのだから、いくら合理的な説明をしてみても、

 完全な決め手がなければ、いくらでも非難攻撃できるからである。

 視点が変われば、どんな想像でもできる。

 一つの史実しかないのに無数の小説が生まれてきたのは、そのためである。

 これでは史学は、果てしない論争が続くだけの修羅の世界で終る。

 どうしても『定義』を確立して、不動の史実を構築する必要がある。

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