『出典』言語復原史学会・加治木義博:大学院講義録15:8頁
しかし、そのため最も重大な問題を忘れて、
捨てておいてはいけない。
それはボントスもサオ姫もギリシャ神話の中にある名だから、
応神天皇の話は神話なんだと即断する人が出る可能性があるからだ。
それを防ぐにはどうすればいいか?。
史実だったから壹與は金髪で、
赫夜姫(かぐや)のモデルになったのだが、
それよりギリシャ神話との違いを明確にすればいい。
もちろん、古代ギリシャで語られていた神話の全てが、
今まで残っているわけではないが、
この違いを証明するためなら、
残っている部分だけで充分である。
そこには名前だけでなく相互関係が明瞭に書いてある。
狭穂姫の例でいえば、
ボントスは祖父でサオは孫娘である。
ところが我が国の垂仁天皇記にあるのは、
狭穂姫は母で、ポントスはその息子である。
だから、この話がギリシャ神話の借り物だったのなら、
『狭穂のはやさめ』物語は珍妙なものになる。
狭穂姫はナンと、
自分の祖父を生むという奇想天外な話になって、
読者の涙を誘うどころか、
とんでもない時空アドベンチャーになってしまうからである。
しかし真実は、
母と子がギリシャ人の名をもっていたというだけで、
神話の筋書きとは何の関係もない、
現実にあった事件を記録したものだと確認できる。
ここまで考え説明して、
始めて「応神天皇の記事は神話ではないか?」
という疑念を一掃できるのである。
『参考』
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小林登志子『シュメル-人類最古の文明』:中公新書
『メソポタミア世界』
シュメル-人類最古の文明
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歴史学講座『創世』
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