『出典』言語復原史学会・加治木義博:大学院講義録09:7頁
ついでに<志筑>とは何を意味するかもみておこう。
日本語の助詞「…の」に当たる漢字の当て字には、
<奴>と<之>と<津>がある。
奴はノ・ヌ・ナで、之はノ・シ。
津はツ・シンだが沖縄語では<チ>と発音することが多い。
<ツナ>が<チヌ>になるのはそのためである。
この助詞の漢字による<シツキ>への当て字を考えてみると
「之津王(シツキ)」とも書ける。
これは<之>の代わりに<津>、<津>の代わりに<奴>を当て字すると
<津奴王>で<ツナ王>である。
だから<志筑>はもともと<ツナ王>だったのだが、
こうした当て字の置き換えが行なわれて、
意味不明の名になってしまった。
それはこれまで幾度も例を挙げて説明したように、
『日本書紀』撰上直後に出された
『風土記』提出の官命にある
「地名には好字をつけよ」という命令で、
<木の国>が<紀伊国>に変えられたように、
都合の悪い史実を抹消しようという、
当時の政権の陰謀によるものだったとわかる。
こうしたことは複雑なように見えるが、
多くの当て字に分裂していても元は単純な一つの名なので、
分析は案外簡単で結論は明瞭だ。
だから地名の言語復原過程では
これは不可欠の必須検討科目であることを忘れてはならない。
こうした分裂、増殖は、さらに<姓氏>のうえに無数にみられる。
これに気づかないまま<日本人の姓>を
説明した解説書の類が市場に出回っているが、
それらにはこうした重要な史実を知らない根本的欠陥があり
無価値といっていい。
『参考』
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小林登志子『シュメル-人類最古の文明』:中公新書
『メソポタミア世界』
シュメル-人類最古の文明
歴史徒然
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