出典:加治木義博『言語復原史学会』大学講義録09:21~22頁
次は、
「正しい発音」が、史実の解明に、
どれほど重要なものかという実例をひとつお話しすることにしよう。
<壹與>はどこの出身か?。
これはどこにも記録がない、と思われていた。
だが私には複数の記録があった。
その記録の一つが<壹與>の「正しい発音」なのである。
まず、彼女は『かぐや姫』としての記録をもっているから、
彼女の出生は子供にもよく知られている。
彼女は「竹」の中で生まれた。
しかしそれは現実には、
そこらに生えている青竹の中から生まれたはずがない。
当然、<タケ>と呼ばれていた人々の中に生まれたのである。
それが高度の話術によって、
植物の竹にすり替えられた。
古代日本人がもっていたこの話術文化は、
日本列島で熟成した固有の文化だったか?。
それともすでに高度に発達した文明人が、
身につけて日本列島までもってきた外来文化だったのか?。
このことに注目すると、
ここでも<日本人のルーツ>の手掛かりがえられる。
今から3000年を超える昔の中国の<殷>(イン)時代に、
沖縄を本拠にしていた<カリエン>と呼ばれた人々が、
当時沖縄列島で世界一多産した<宝貝を養殖生産>して、
<通貨>として大規模に輸出販売する一大産業をいとなみ、
<殷>はその<貝貨の力>で中国最初の統一帝国を作りあげていた。
いま大阪府の枚方市などに、
「香里園」といった地名があり、
また幸利・公利・上里・小有里などという地名や姓が全国的にあるのも、
彼等が居住していた名残りだし、
彼らが独自の通貨商品にしていた宝貝も、
彼等の名を代名詞にして
「カウリー・コウリー」と呼ばれ、
今も貝類学上の学名として使われている。
この<コウリー>に漢字で当て字したものが「高麗」である。
この<高麗>は3世紀には省略されて「高」一字で表現され、
九州人は「コウ」「タカ」と呼び、
鹿児島人は「タケ」、
沖縄人は「ク」と呼んでいた。
『魏書倭人章』の「狗奴国」というのは、
このうちの沖縄発音だとわかるし、
「竹=タケ」は鹿児島人の用語だとわかる。
だから<壹與>は<カリエン人>の中で生まれた。
ところが彼女は<タケ人>の中で<黄金色>に光り輝いていたから、
<竹取りの翁>に見つけ出されて養女になった。
生まれたばかりの赤ん坊が知恵で光り輝くことはないし、
初生児の顔では、
光り輝くような美女になるかどうかも判定できないから、
これは文字通り黄金色に光り輝やくもの、
頭髪が<金髪>だったのである。
沖縄には今も遺伝でブロンドの人が生まれる率は日本で最も高い。
このことからも彼女が沖縄生まれだとわかる。
だが、その出生地が特定できるだろうか?。
できる。
カールグレンの発音リストによれば、
「壹與」の3世紀の正確な発音は「イエッ・ジョー」である。
ちゃんと「伊江」津(の)「嬢」だ、
出身地が記録されているのである。
発音は正確な復元が絶対に必要なのだ。
『参考』
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小林登志子『シュメル-人類最古の文明』:中公新書
『メソポタミア世界』
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