『出典』言語復原史学会・加治木義博:大学院講義録08:7頁
この間題には都合のいい有名な答がある。
それは「ハラカラ」という日本語の存在である。
ハラカラとは「同胞」と書く古語で
「兄弟姉妹」の意味に使われてきたが、
明治以後は日本の統一を眼目に、
極端な国家主義に利用されて「国民」の意味に多用された。
問題はその語源である。
「同じ腹から生まれた」という意味で「腹から」というという説もあったが、
「同じ」が省略されると「腹から生まれた者」であって、
卵生のものを除いても胎生の動物は全て「ハラカラ」になり、
「兄弟姉妹」だけを指すわけがない。
卵生のものでも、卵は「腹から」生まれると反発されて、
この説は完全に消滅してしまっている。
では「ハラカラ」の語源は何か?。
それは一つしかない。
多民族国家だった古代日本では
「ハラ」も「カラ」も「同じ意味」の言葉だった。
だからハラと発音する人たちも、
カラと発音する人たちも「兄弟同然だ」というのが、
この言葉の真意である。
だからもともとこの言葉は、
国家統一時代に生まれた新語だったのであり、
国家主義の芽生えが意識にのぼりはじめた時代の
「同胞」に当たる造語だったのである。
だから「ハラ」は「カラ」と同じ意味をもっていた。
それは<ヒ>と発音しても、<シ>と発音しても、
同じ「日」や「火」を意味するように、
単なる方言差に過ぎなかったのである。
『参考』
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小林登志子『シュメル-人類最古の文明』:中公新書
『メソポタミア世界』
シュメル-人類最古の文明
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