2012年2月23日木曜日

この講座の本務は解読技法の研鑽



 『出典』言語復原史学会加治木義博大学院講義録25:28頁

 《この講座の本務は解読技法の研鑽
 《この講座の本務は解読技法の研鑽

 では『記・紀』は、それぞれ何を主張しているのか?。

 それを確認すれば、

 『記・紀』がどんな目的で書かれたかを最終的に定義できる。

 なぜなら、どんな主張でも冒頭に強く意志が漲っていて、

 最後の部分で総括して結論するものだが、

 この『国生み・3貴子生み』は、その冒頭であって、

 しかも後から加上された「結論」部分でもあるからである。

 ただ比較する前に注意がいるのは、

 『日本書紀』には本文のほかに『一書』が多数編集されているが、

 その中に『古事記』に酷似したものが入っている。

 だからそれを『日本書紀』として扱うと、

 双方同じ内容ということになり、

 比較しても何にもならない。

 この『一書』混入は持統天皇の妥協の産物で、

 その時『日本書紀』の性格も変わってしまったのだから、

 私が今お話ししている本来の性格の差は、

 『一書』追加前の『原・日本書紀』(本文)だけを『古事記』と比較したものである。

 これを見るとこれまでみた舎人親王の編集と加上との実態が、

 さらに精細に理解できる。

 こうして精密に分析して初めて『記・紀』は批評でき、判定できるのである。

 それなしで批判するのは形だけで実体がない。無意味というはかない。

 この講座は『記・紀』解読を教材として使ってはいるが、

 謎解きが本務ではなく、

 解読技法をご一緒に研鑽するのが目的である。

 ここで改めて申し添えておく。

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