ウワイト(倭人)大学講義録
『出典』言語復原史学会・加治木義博:大学院講義録24:9頁
《アレクサンドロス王家に遡る政治哲学論争の伝統》
《アレクサンドロス王家に遡る政治哲学論争の伝統》
これで、伊弊諾・伊弉冉の「天の瓊矛」とは、
「天=チヌ=津名=柱=磤馭盧で帝柱すなわち政権」を意味し、
「瓊=玉=平和」と「矛=剣=戦争」は、
政字哲学を意味する象徴だったとわかった。
伊弊諾・伊弉冉2神の男尊女卑の話に見えた天柱寓話も、
天照と素戔鳴の争いも、
ともに戦争と平和という政策の対立を描くものだったのである。
すると、もう思い出して戴いたと思うが、
全く同じテーマ、同じ悲劇が、
はるか西方のギリシャにもあった。
それはアレクサンドロスの両親が、
父の武力による征服統一礼讃と、
母の宗教による平和と融和の理想との対立が高じて、
遂に母の手で父が暗殺されるという悲劇に終った史実だ。
『記・紀』の冒頭を飾る「国生み」に、
同じテーマが取り上げられている事実に不注意であってはならない。
なぜ?わが国の正史が、肉親の男女による
「戦争か?平和か?」という
哲学論争の描写の繰り返しで始まるのか?…と考えると、
その根にはアレクサンドロス王家の深刻極まりない悲続く、
古代のわが国の最高指導者の胸にも、
拭い去れぬ圧倒的な陰影を深く刻んでいたことがみえてくる。
だから殊更に、この人類永遠の宿命とでもいうべき論争が、
繰り返し『記・紀』の寓話の主題になっているのである。
ところが中国の正史に登場する支配者の男女関係は、
もっと低い所で止まっていることも、見逃してはならない。
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