『出典』言語復原史学会・加治木義博:大学院講義録09:32頁
もうお気づきと思うが、
地域は九州から近畿に飛び、
また<武内宿祢一族の名乗り>が揃っている。
過去の史観では武内宿祢一族というのは、
完全な臣籍の人々で天皇家とは
僅かな姻戚関係にあるだけとされてきた。
だがこの結果を見る限り、
彼等は応神天皇が入り婿した女王家そのもので、
『記・紀』が建前とする男性天皇系譜は、
無理やりこじっけた後世の作品だという真相を露呈している。
また「倭の五王」というのも、
単に中国で記録し得た王の数が5人だっただけに過ぎず、
また真実の王たちは
『記・紀』が書く架空の物語りとは
全く別の活動をしていたことも読み取れる。
名乗りは正しく読むと、
その政権の統治方法、その勢力圏、
その移動拡大、統治者の異動変化、
その原因と結果、といった細部まで読み取れ、
生きた歴史がありありと映画をみるように映し出され展開する。
本号の例では仁徳天皇の后妃がもつ旧名のように、
名乗りが婚姻相手と食い違うのをみれば、
そこに実在した再婚に至った事件が詳細に見えてきて、
文献による歴史復元の要素が
名乗りに凝縮しているのがはっきりわかる。
そればかりか『記・紀』その他の文献の記事が、
どれくらい曲げられているかを、明確に立証する。
それは本号の簡略な検証だけでもよく理解でき、
私たちの<言語復原史学>が
いかに成力をもった生きた学術であるか、
よくご確信していただけたと思う。
『参考』
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小林登志子『シュメル-人類最古の文明』:中公新書
『メソポタミア世界』
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