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創世紀―牛角と祝祭・その民族系譜―
執筆時期:1999~2000年
牛角と祝祭・その民族系譜:910~913頁
第14章 牛頭と鹿頭
宇屋谷と神代神社(2)神代神社と角間②
「神代」はまた「神の依代」が推測できる。
主旨においてその概念を正しいと考えるが、
この用語により成立したのではない。
メソポタミアを起源とする
祝の基盤にある想念を継承したものである。
つまり、
「神代」はその象徴「牛頭」を表現したものであるからである。
「神」は
サンスクリット語の牡牛を表わす gava, go, gu の転写である。
「カミ」は gava, 「コウ」は go, 「クマ」 gava で(kuma)
となったものである。
これらの牡牛を意味するサンスクリット語に
漢字の「神」が当てられた」のは、シュメル語の段階にまで
遡って考えなければならない。
シュメル語の「牡牛」の用語 gu, gud があり、
サンスクリット語の前記の祖語である。
第4章カルト人の移動「ゲルマン」で
その祖語がシュメル語の gelam-am (階段-牡<野>牛)であり、
ゲルマン族の「神」を表わす Gütt(ドイツ語)、 god (英語) は、
シュメル語の gud に由来するとの観測を述べたが、
それと同様に「牡牛」を表わすサンスクリット語 gava が
漢字の「神(しん)」を用いて表記され「カム/カミ」となって
いてもおかしくはない。
この事情を証明する事例を述べる。
第12章において、奈良県桜井市の大神神社に関して
「大神(おおみわ)」の「ミワ」に何故「神」字が
当てられているかの説明は行わなかった。
「ミワ」は「美如」で「雲」であり、三輪は積雲の意味であった。
「神」字が「ミワ」の当て字であることは明白である。
「神」は日本語において「カム・カミ」である。
「カム・カミ」の実際が「牡牛」である
gave ともいうインドラ神の「牡牛」に由来する。
インドラ神が牡牛であることは
リグ・ヴェーダのインドラ神讃歌で謡われているところである。
大神とは「大-牡牛」なのである。
「神」は祭神の象徴である「牡牛」によって表現された用語である。
三輪はインドラ神の首飾りである花環と
関係することも触れておきたい。
大神山が「青垣」であると論じたが、
その祖語 śṛṅga は「角」 であり、同山は「角山」で
錐形の牛角山であるとすることもできる。
次に「神代」とは何かであるが、これは「牛頭」を表わす。
サンスクリット語の「牡牛」と「頭」の意味である
śira との合成語 で gava-śira, gava-śirasa (カムシロ),
go-śira, go-śirasa (コウシロ) の音写である。
よって神代神社は「牛頭神社」なのである。
そしてこの「牛頭」である「神代」こそ
本来の素盞鳴尊が占めている出雲の元祖神である。
『古事記』に素盞鳴尊の神系が八島士奴美命をその御子として
17世を語るが、その御名に「奴美(どみ)」があるように
本来は富(登美)族の系譜であり、
いうなれば「神代神」の系譜と考えるべきである。
ここでも素盞鳴尊の立場を意図的に高くしている様子がみられる。
宇屋谷の神代神社には大国主命が祀られていることから、
同社は登美族に関係するものであろう。
次にその名称による神社の流れを追うが、
神代に付随して「布勢」名の地籍、神社が隣接する。
「布施、布勢」に奈良県桜井市の阿部を本貫とする
阿部族の一支族とされる。
「フセ」の祖語が「供儀、供与」を意味する
(阿部は hava を祖語とし、供儀を意味する)か、
「ふさ/多」によるものか判断しがたいが、
何れにしても多(生尾)に係わる登美族の本譜に属する。
布施(布勢)神社は阿部氏の祖大彦命を祭神とする場合が
ほとんどである。
《参考》
ARPACHIYAH 1976
高床式神殿、牛頭、空白の布幕、幕と婦人、マルタ十字紋等
(アルパチア遺跡出土の碗形土器に描かれている)
牛頭を象った神社建築の棟飾部
本生図と踊子像のある石柱
Tell Arpachiyah (Iraq)
Tell Arpachiyah (Iraq)
ハラフ期の土器について
ハブール川
ハブール川(ハブル川、カブル川、Khabur、Habor
、Habur、Chabur、アラム語:ܚܒܘܪ, クルド語:Çemê Xabûr, アラビア語:نهر الخابور Bahr al-Chabur
ARPACHIYAH 1976
高床式神殿
牛頭を象った神社建築の棟飾部
神社のルーツ
鳥居のルーツ
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