2011年12月12日月曜日

莫大な知的埋蔵物を発掘する一大宝庫



 『出典』言語復原史学会加治木義博大学院講義録23:14頁

 《莫大な知的埋蔵物を発掘する一大宝庫
 《莫大な知的埋蔵物を発掘する一大宝庫

 だが、その空想の世界である小説にも、

 証拠という『定義』を示して読者を満足させる、

 一歩前進した分野がある。「推理小説」である。

 それが知性人を喜ばせている理由なのだが、

 私たちが目標にしている「史実の復元」は、

 その程度の高さでは間にあわない。

 一つ一つが「動かない証拠」であることを読者に納得させたものを、

 整理して蓄えておいて「手抜きのない部品」として用い、

 立体的に支えあう証拠群にして、

 不動の基礎を築き、その上に正しく配置して、

 地震にも台風にも水害にも崩れない建築のように、

 完全な構築物に仕上げる。

 これは数学や建築では当然のことで、

 いまさら話すのも面倒なくらいなのだが、

 それを実行する以外に史学を完成させる方法はない。

 本学の始めた『定義』とはその第一歩、基礎の基礎だったのであり、

 その意義は、この不可欠の基礎部品の、収集と、保存と、活用にある。

 しかしそれは実は膨大な量になる。本学の全会員が取り組んで、

 始めて光明を見出すほどの『定義』が、

 『記・紀』と周辺文献には埋蔵している。

 そればかりではない。

 これまでずっとご覧にいれてきたように、

 地名、姓、語彙の言語文化財が大量にある。

 わが国の古代史は、優れた脳の持ち主にとって、

 莫大な知的埋蔵物を発掘する一大宝庫なのである。

 このことは、当然、会員諸先生も早くお気づきになっていて、

 すでに豪華な蓄積を済ませていらっしゃると拝察する。

 本学はそのご発表に大きく期待しているのである。

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2011年12月11日日曜日

歴史は定義できるだろうか?



 『出典』言語復原史学会加治木義博大学院講義録23:13頁

 《歴史は定義できるだろうか?

 本大学院講座は、

 論文や著書を書いて戴くのが目標だが、

 それには本学独特の、

 しっかりした基礎常識が必要なことはいうまでもない。

 ことに本学は史学の高度化が目的だからこの『定義』の問題までは、

 必須の科目に入れたかったが、それが遂に実現した。

 会員諸賢もそのおつもりで熟読して戴いて、

 決して読み流しにして戴かぬように、心からお願い申しあげます。

 歴史も『定義』が完成していなければ、

 たとえば『魏書倭人章』を『記・紀』と比べて、

 「一致している」「いや違っている」と、

 いくら論争してみても、何の役にも立たない。

 歴史は人間の行為と行動の記録だから、人はどんな行動でもとる。

 一定の法則だけに従うものではない。

 それを不合理だといってみても始まらない。

 不動の法則による制約がないのだから、いくら合理的な説明をしてみても、

 完全な決め手がなければ、いくらでも非難攻撃できるからである。

 視点が変われば、どんな想像でもできる。

 一つの史実しかないのに無数の小説が生まれてきたのは、そのためである。

 これでは史学は、果てしない論争が続くだけの修羅の世界で終る。

 どうしても『定義』を確立して、不動の史実を構築する必要がある。

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2011年12月10日土曜日

天皇家の権威を失墜させるエセ歴史学の罪



 『出典』言語復原史学会加治木義博大学院講義録23:12頁

 《天皇家の権威を失墜させるエセ歴史学の罪

 そのサバイバルを賭けた巻き返しが、例のヤマタイ・ブームだった。

 しかし歴史の何たるかさえ分らない連中が、

 頭上に振りかざしたのは

 「邪馬台国はどこか」というおかど違いの主題だった。

 そのあげくは邪馬臺はヤマトで、

 神武天皇以来の奈良の都だという時代錯誤のコジツケが、

 いまだに大手をふって、まかり通る学界を作り上げてしまった。

 その根底には、

 本居宣長流の『古事記』神典思想と

 水戸光圀流の尊王思想がある。

 しかしそんなものは、

 すでに本講でもズタズタにほころびてしまったように、

 時の流れには絶対に勝てない。

 彼等は天皇家に忠誠を誓い、尊王を貫いているツモリでいても、

 それが無残にも崩壊してしまえば、天皇家の権威もそのために失墜してしまう。

 「贔屓の引き倒し」どころの騒ぎではない。

 私には、それがありありと見えているので、辛苦して赤貧と戦いながら、

 それらのエセ歴史学看たちの誤りを正し続けてきたのである。

 改めて言うが、『定義』のできない国史学は学問ではない。

 そんなものが空想で描き出そうとした大和朝廷像は、

 すでに薄っペらな幻想が破れて価値を失ない、

 その反動で、それを盲信させられてきた人々を、

 天皇家嫌悪におとしいれることは眼に見えている。

 しかし史実は私たちの祖先の労苦と智恵が生んだ天皇家の長所と理想を、

 強く記録しているのである。

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2011年12月9日金曜日

なぜ?過去の「学説」は死滅したか?



 『出典』言語復原史学会加治木義博大学院講義録23:11頁

 《なぜ?過去の「学説」は死滅したか?

 こうして覚めた眼でみると、

 『記・紀』は 末尾に近い大化大戦=天智天皇革命に至るまで、

 中国の記録と対照しなければ「時間帯」が全然不明の、

 これでも『歴史書』か?と、

 疑問をもつような欠陥「正史」だったのである。

 もちろん、そこには何年何月、誰が、何をしたかと書いてある。

 しかしそれは体裁だけの作り物で史実ではないことは、

 ソナカ記録の、時間帯を無視した分散状態だけでも充分証明されている。

 こんな事実を知らず、あるいは無視して論じられてきた過去の学説が、

 時間帯あっての史学であることさえ意識しない程度の人物の、

 ちょっとした思いっきにすぎないということは、少し考えればわかることである。

 文字に弱い一般の人は、書物の体裁や活字に幻惑されたり、

 あるいは肩書きに敬意を払い過ぎて内容を批判できないが、

 真実を知った私たちには、

 恐ろしい八俣の大蛇には見えず、

 山田の案山子にすぎない正体がはっきり見える。

 これが過去の『学説』が次々に消滅していく理由なのである。

 その欠陥をまざまざと表現しているのが、正しい『定義』が皆無だった事実である。

 歴史にも他の科学と同じ『定義』が不可欠なのに、そのことにさえ気付かず、

 欠けたままにしていた国史学界そのものが、生存できない宿命を育てていたのである。

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2011年12月8日木曜日

『記・紀』は今、やっと「歴史書」として誕生した



 『出典』言語復原史学会加治木義博大学院講義録23:10頁

 《『記・紀』は今、やっと「歴史書」として誕生した

 これで、

 在来の学者が別人の話として無視してきたソナカと卑弥呼の別伝が、

 どんな構成になり、

 なぜ分散して『記・紀』に入っていたか、さらによくよくご理解戴けたと思うが、

 『記・紀』では、彼女の生涯が何時だったか、

 本当の時間帯は全くわからないということを、

 ここで改めてよくご認識戴きたい。

 在来の学者は、これまでただ漠然と、

 卑弥呼は倭迩迩日百襲姫らしい…という印象をもち、

 だから崇神天皇は卑弥呼時代だと思い、卑弥呼は248年ごろに死んだから、

 崇神天皇時代はその前ごろだとか、卑弥呼という名は、

 僅かに『日本書紀』の「神功皇后紀」の割注に出てくるので、

 皇后と同一人物か?と思ってはきたが、ただそれだけで、

 それが皇后と同じ人だとは断定できていないままなのである。

 『記・紀』は時間帯のない半人前の歴史書なのだ。

 しかし、私たちはすでに、卑弥呼と、その別名との関係をはっきり解明し、

 同一人物だと確認しているので、こうして『魏書倭人章』の書く正確な年月を、

 彼女の生涯に当てはめることができた。

 極端な表現をすると、今はじめて『記・紀』は、正確な時間帯をもったのである。

 それは「『記・紀』が今、ようやく一人前の歴史書として誕生した」といってもいい。

 それを可能にしてくれたのは『魏書倭人章』だ。

 これが『魏書倭人章』の最大の価値である。

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2011年12月7日水曜日

記録者が異なると生まれる別伝のサンプル



 『出典』言語復原史学会加治木義博大学院講義録23:9頁

 《記録者が異なると生まれる別伝のサンプル

 このリストは卑弥呼の「○記録の分散を示す一覧表」である。

 孝霊天皇の皇女として生まれ、垂仁天皇の代まで生きていた女性なのだから、

 それ以外の年代に書かれているのは史実ではない。

 この多くの別伝は、記録した人々(卑弥呼時代の国)が違うための産物。

 時代    別名      実在 夫の名     備考

 神代    天照大神    Ⅹ         光華明彩のほう

 神代    下照姫     Ⅹ 天稚彦     天孫降臨の準備期

 孝霊天皇代 倭迩迩日百襲姫 ○ 彦五十狭芹彦  系譜

 桓霊の間  卑弥呼女王   ○ 夫婿なし    160年から168年頃に共立

 正始8~9年 親魏倭王    ○ 夫婿なし    247年から248年に死ぬ

 崇神天皇代 比売語曾の神  ○ 都怒我阿羅斯等 ツルカルニン

 垂仁天皇代 麻多烏     ○ 天日槍     ソナカ遍歴の別伝

 仲哀天皇代 息長帯比売   Ⅹ 仲哀天皇    多くの別伝と同時代のもの

 神功皇后代 息長帯比売   Ⅹ 仲哀天皇    壹與の記事が混入

  『社団法人 日本オリエント学会』

 『ウバイド』

 『フェニキヤ』

 『地図』

 出典:小林登志子『シュメル-人類最古の文明』:中公新書
 『メソポタミア世界』

 出典:Category:Mesopotamia - Wikimedia Commons
 『Category:Mesopotamia』

 『参考』
 歴史徒然:日本の誕生・日本語のルーツ・ウバイド・ウワイト・遷都

 小林登志子『シュメル-人類最古の文明』:中公新書

 オックスフォード大学東洋学科シュメル文学

 シュメール古代史:Ancient Sumer History in Mesopotamia

 『テル・コサック・シャマリ』

  フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
 『メソポタミア』
 『古代オリエントの地名一覧』
 『メソポタミア神話』
 『古代オリエントの用語一覧』
 『必見メソポタミア文明情報サイト』 

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2011年12月6日火曜日

『魏書倭人章』の真価は卑弥呼時代を定義したこと



 『出典』言語復原史学会加治木義博大学院講義録23:8頁

 《『魏書倭人章』の真価は卑弥呼時代を定義したこと

 しかし、このまま興味本位に「『古事記』偽書説」に滑りこんでしまっては、

 本講の主題である『定義』から脱線してしまう。偽書説問題は簡単ではない。

 後にまわして、ここではこれまでの定義の価値を確認して、

 さらに定義を充実させるのが本題でなければならない。

 これで『古事記』が『日本書紀』を写したものだと定義できたから、

 安心して『日本書紀』に重点を置いて、

 この定義を確立させた「ソナカと卑弥呼記事の分散」が

 『魏書倭人章』の本当の価値を証明する事実を、

 よく印象に止めて戴けるお話をすることにしよう。

 歴史に関心の薄い人でも、

 戦後のいわゆる「邪馬台国ブーム」はご存じである。

 それほど日本人の関心は

 「邪馬台国はドコにあったか?」に集中していた。

 しかし『魏書倭人章』の本当の価値は

 「邪馬台国はドコにあったか」なんかではない。

 その最高の功績は、

 卑弥呼が「いつの時代の実在者だったか」を記録していたことなのである。

 卑弥呼は

 「後漢の桓帝と霊帝との間ごろに倭国の女王に共立され、A.D.248年に死んだ」。

 これがわが国の正史とされる『記・紀』ではさっぱりわからない。

 『魏書倭人章』があって始めて確認できたのである。

 だからこれも、卑弥呼とその別名による記録類が史実だと確認できる『定義』なのである。

 その定義がどんなに役に立つのか?、詳しくお話ししてみよう。

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