2016年6月15日水曜日

《少彦名神と山田、大和、倭、日本》➀


 創世紀―牛角と祝祭・その民族系譜―

 著述者:歴史学講座「創世」 小嶋 秋彦

 執筆時期:1999~2000年

 牛角と祝祭・その民族系譜:1252~1265頁

 第16章 ヘブライ人の日本定着とヘブライ(イブリ)の信仰

 《少彦名神と山田、大和、倭、日本》

  「北陸地方と佐渡の秘密」において、

 「延喜式」に記されている佐渡国の郡名

 「雑太」郡を「サハタ」と訓んでいる件について

 『古事記』の「曾富謄」の「ソフト」と同根であり、

 その祖語がヘブライ語の「裁判官、土師」を意味する

 ShVPhT(shophet)であると述べ、

 少彦名神を表していると解釈した。

 その部分を『古事記』は次のように述べている。

  其少名毘古神を顕わし白せし謂はゆる久延毘古は、

  今者に山田の曾富謄といふぞ。

  此の神は行かねども、

  盡に天の下の事を知れる神なり。

 少彦名神を「裁判官、土師」と指摘するのは

 「天の下の事を知れる神」と

 言っている点からである。

 また「此の神は行かねども」とあるのは

 ShVPhT 近似音語

  LShHVT(lishehot、留まる、居残る、滞在する)と、

 「山田」の「ヤマダ」が YMD(amad) に通じ、

 「留まる、(ある地位、場所)にいる、立つ」の

 概念であるからである。

 日本古典文学大系は、

 本居宣長の「古事記伝」が指摘する

 「古今集以下の歌に見える”そほづ”と同じで

  案山子のこととしている」と註している。

 カカシへの変化はおもしろい。
 
 しかし、

 「山田」の背景には単なる「山間の田圃」で

 ないものがある。

 山田には古代日本の創世に係わる秘密が

 潜んでいるのである。

  まず、久延毘古について解釈しておく。

 「クエ」はヘブライ語の GVAL(goel) の音写で、
 
 「救済者」を意味する。

 は大己貴神の国作りを助け、

 また一時へ去ったものの再来して

 困惑していた大己貴神を救済した神である。

 この用語はキリスト教における「救世主」として

 用いられる用語で単なる助力を越えた

 贖(あがな)いをも内容としている。

 少彦名神が常世へ去りまた再来した様子は、

 イエスキリストが十字架に架けられ死んだ後に

 復活したとするキリスト教の思想と想念を

 共有しているものである。

 少彦名神が「土師」にして「贖い主、救世主」との

 観念はよりヤハウェ神へと近づいている。

 石川県鹿島郡鹿西町の久江は

 この GVAL(goel)名でwある。

  奈良県桜井市の明日香村との境に山田地区があり、

 そこに大和神社が鎮座する。

 山田は「大和」と関係し、

 「ヤマト」を解明する鍵である。

 本書の「はじめに」において

 「大和」の由来も解っていないと述べておいたが、

 ここにそれを明らかにする。

 山田名がここにあり、

 『古事記』が「山田の曾富謄」と

 少彦名神の別称として記していることは重要である。

 大和神社の現在の本社は

 天理市新泉町に鎮座している。

 同社の祭神は

 『日本書紀』崇神天皇6年条が

 「倭大国魂神」「日本大国」と表記している神で、

 現在同社はその祭神を

 「大和大国御魂大神」と表記し奉祭している。

 崇神天皇紀は同神がそれまで

 天皇の居所に祭祀されていたと述べており、

 国にとって最も重要な神の一つであることを

 示している。

 同社は「「延喜式」神名帳の大和国山辺郡に

 「大和坐大國魂神社三座名神大」と載っており、

 「大和」を「オホヤマト」と訓んでいる。

 三座として、

 現在の祭神は

 同神と八千矛大神、御年大神となっている。

 「オホヤマト」とは何を示しているのか。

 この理解のためには同社が「朝和之宮」と

 言われてきたことが参考になる。

 つまり、

 「オホ」と「朝:アサ」が

 同じ意味を持っているのである。

 その実像はヘブライ語によって明白となる。

 「アサ」 Ash(ash)、「オホ」は AVR(aor)の音写で

 両方共「火、火災」を表わす。

 Ashは東京都台東区浅草の「アサ」でもある。

 また、AVRが aorと発声されると

 「光、明かり、幸福を与えるもの」となる。

 そこで想起されるのが

 『日本書紀』の少彦名神渡来の場面で、

 「神々しき光が海を照らして、

  忽然に浮かび来る者有」と表現されている。

 また、「海上に惣に―――人の声有り」と同神と

 「光」「海」が結びつけられている。

 「北陸と佐渡の秘密」で同神が船乗りあるいは

 船の舵手(舵取り)であると述べた。

 そこでヘブライ語に「海」を探ると

 YM(yam、海、大洋、湖)があり、

 「海に関する、海の」の形容詞はYMYT(yamit)となる。

 つまり、

 「オホ・ヤマト」は AVR-YMYT(aor-yamit、光-海の)で
 「海の光」の字義となる。

 「大和(おおやまと)」は「海の光」であり、

 「朝和」は「アサヤマト」で「海の炎」である。

 「和(やまと)」が「海」である傍証は、

 大和大国御魂神の「大国」にもある。

 「オホクニ」は AVKYNVS(aokeunos) の転訛で、

 「海洋、大洋」を表し、YM に対応する。

 イザヤ書第41章などにいう

 「海沿いの国と島々」は海の中にある国々であり、

 そこが

 「海の国」であるとの概念が生まれて当然である。

 YMYT が「山田」であり、「ヤマト」である。

 『古事記』の「山田の曾富謄」とは

 「大和国の裁判官」と言っていることになる。

 『日本書紀』に大己貴命が少彦名神に向かって

 我々が作った国は良くできたと言えるかと問い掛け、

 その返答に

 「我が成せるところも有り、

  或は成らざるところも有り」

 と判断した話などには

 裁判官としての性格が覗われる。

 大国魂神あるいは大国玉神が

 大己貴神の別称であることは

 第12章 大国主神と大物主神 などで述べた。

 現在の大和神社が八千矛大神を祀っているので

 「大己貴神と少彦名神」で解析したように

 両神の合一性からみて、

 大国御魂神を少彦名神とすることができる。

 三座のうちに大年神が奉祭されているが、

 この場合の「大」は美称で「年」の「トシ」は

 TShVIH(teshuah) の転訛で

 「救い、救済、解放」の字義で久延毘古の

 GVAL(救済者、贖い主に対応する。

 「海のYMYT」の「ヤマト」が漢字で「大和」と

 表記された事情については、

 上記の桜井市山田周辺の地名が参考になる。

 同市に上(うえ)之宮、上(かみ)之庄の地名があり、

 「上」は「ウエ」にして

 「鷲宮神社と板倉の雷電神社」で述べた上内の

 「上」と同じで、鷲宮町大輪、板倉町大曲の

 「オウワ」の祖語である IV(Iow 雲)である。

 大神神社の三輪山名は「美和」などとも表記され、

 サンスクリット megh の音写で「雲」であり、

 インドラ神の祭祀が関係している。

 ここは「雲国」であり、

 「大和(おうわ)国」なのである。

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