2013年8月14日水曜日

高床式神殿の祭神(一)豊饒神(3)


 創世紀―牛角と祝祭・その民族系譜―

 著述者:歴史学講座「創世」 小嶋 秋彦

 執筆時期:1999~2000年

 牛角と祝祭・その民族系譜:135頁

 第二章 高床式神殿の祭神・(一)豊饒神(3)

  十字紋はハラフ期の当時何と呼ばれていたのであろうか。

 マルタ語の「主」を表す sinjur の同類後に

 「しるし、標識、記号」を表す sinjal がある。

 Sinjur と北イラクの山脈名 Sinjer は同根語で、

 sinjer は先にみたように神殿を表わした。

  この用語は現在のマルタでは「主、主人」の意味ではあるが、

 古代においては「神」そのものを意味したように思われる。

 するとマルタ十字紋である「しるし sinjal 」自体が

 「神体」の象徴であったことになる。

 「神への信奉」を字義とする karita を持つこの島の人々の基層には

  khard 人が存在したと考える。

 彼等がマルタ十字紋を「シンジャル」と称していたといってもよいだろう。

 牛頭崇拝の文化を北メソポタミアから持ってきたのである。

 シュメル語に入った神をいう場合の dingir は

 この sinjer の祖語の転訛であると考えられる。

 Dingir の絵文字「米」は星の抽象化によるものと解釈がされている。

 シュメル語の天空を意味する zikum は「□の中に米」に作られ、

 星のある世界ということである。

 「高床式神殿の高み」にある「聖所」はsukuで、

 十字紋の坐すさらなる「高み」の天空を「神の坐す聖所」と考え、
 
 zikum と称したと考えられる。

 ARPACHIYAH1976



 『参考』

 Tell Arpachiyah (Iraq).

 まんどぅーかネット

  シュメル語・日本語

 《Key Word》

 ハラフ期

 Dingir の絵文字

 シュメール語事始

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