創世紀―牛角と祝祭・その民族系譜―
著述者:歴史学講座「創世」 小嶋 秋彦
執筆時期:1999~2000年
牛角と祝祭・その民族系譜:151頁
第二章 角と「メ」信仰(1)
シュメル語における角を表す用語は si であることはすでに紹介した。
この si の発音はどちらかというと qi に近かっただろうと思われる。
si を含む王子を表す patesi は
サンスクリット語の同義 pataka と同根語とみられるが、
ここでは ka と表音されている。
si と表記される角は khald の語頭の残存であると判断できるのである。
サンスクリット語には arāda という「長い角のある」を意味する用語が、
あるいは「登ること」に係わる ārudha ないし ārudhi という用語があり、
アッカド語の aradu (降りる) に対応する。
これらは都市名エリドゥ Eridu 関係すると思われ、
Eridu は khald の二千年を経た後の転訛である可能性もある。
角 khald が階段 galam を象徴していただろうことはすでに推察した。
王子を表すシュメル語には patesi のほかに nun がある。
『シュメルの王名表』の冒頭に表れる
「王権が天下から下った時エリドゥに王朝が成立した」の
エリドゥの都市名である
ヌンキ nunki は「角の王子」の市と解釈することもできる。
そうすると、
patesi の同義語とされる ensi は「地方長官」の意味もあるが、
エリドゥの都市であることになり、
エリドゥ市の守護神ということにもなる。
Enki であることになり、エリドゥ市の守護神ということになる。
En は長官とともに「主」を表すので「角の主」となる。
これまでエンキ神について、
その神話から「地の主」との理解が一般化しているが、
ジャン・ボデロが「メソポタミア」の中で
「その正確な意味は確かめられていない」
と述べるよう「地の主」と解釈するだけでは十分でないのである。
参照のために角を意味する
ペルシャ語は shākh 、
バローチー語は hānt 、
スィンディ語では siñu であることを付け加えておきたい。
また、ギリシャ語の έρδω は「犠牲を献げる」を、
άρδωは「灌水(家畜に)水を飼う」を意味する。
ARPACHIYAH1976
『参考』
Tell Arpachiyah (Iraq).
まんどぅーかネット
シュメル語・日本語
《Key Word》
シュメル王名表
ペルシャ語
バローチー語
スィンディ語
ギリシャ語
0 件のコメント:
コメントを投稿